ダイレクトリクルーティングの導入事例まとめ!メリットや料金形態・課題を徹底解説

優秀な人材を獲得するためには、従来の求人広告だけでは難しくなっている昨今。多くの企業が新しい採用手法を模索するなか、「ダイレクトリクルーティング」が注目を集めています。
自社が求める条件に合った人材に直接アプローチできるこの手法は、採用の質と効率を同時に高める可能性を秘めています。しかし、実際にどのような企業が導入し、どのような成果を上げているのか気になる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、ダイレクトリクルーティングの具体的な導入事例を中心に、メリットや料金形態、導入時の課題までを詳しく解説します。これから採用戦略の見直しを検討している採用担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
ダイレクトリクルーティングとは?
ダイレクトリクルーティングは、企業が採用したい人材に直接アプローチする採用手法のことを指します。求人広告を掲載して応募を待つ「プル型採用」とは異なり、企業から候補者にスカウトメッセージを送る「プッシュ型採用」の一種です。
具体的には、人材データベースやSNSなどを活用して、自社の求める条件に合った人材を検索し、直接コンタクトを取ります。候補者のプロフィールを確認した上でアプローチするため、ミスマッチを減らし、効率的な採用活動が可能になるのが大きな特徴といえるでしょう。
近年では、AIを活用したスカウトツールも登場し、より精度の高いマッチングや業務効率化が実現できるようになってきました。
ダイレクトリクルーティングの導入事例
ダイレクトリクルーティングは様々な業界で導入されています。実際の事例を見ていきましょう。
HR系上場企業
HR系の上場企業A社は、転職エージェント経由での採用が中心でしたが、コストが高く、また自社が求める技術スタックを持った人材が少ないという課題がありました。
組織拡大を進める中で「エージェントに依存せず、自社で採用力を高める必要性」を感じ、ダイレクトリクルーティングを導入しました。ビジネス職やエンジニア職の採用において、スカウトを活用して候補者との直接的な接点を増やし、採用効率を向上させています。特に、候補者とのカジュアルなコミュニケーションを重視し、早期段階で自社の魅力を伝える工夫が成功要因となっています。この結果、エージェント経由では得られない高いマッチング率と内定承諾率を実現しました。
人材系企業
人材系のB社では、営業職の採用においてダイレクトリクルーティングを活用しています。従来の求人広告では応募数は多いものの、経験やスキルにばらつきがあり、選考に多くの時間を費やしていました。
ダイレクトリクルーティングの導入により、業界経験や実績などの条件で絞り込んだ候補者にピンポイントでアプローチすることが可能になりました。その結果、書類選考の通過率が2倍以上に向上し、採用担当者の工数が大幅に削減されています。また、入社後の定着率も改善されたと報告されています。
人材紹介企業
人材紹介を行うC社では、自社のコンサルタント採用にダイレクトリクルーティングを取り入れています。
同社では、採用基準を満たす人材を効率的に見つけるため、ダイレクトリクルーティングツールを活用。特に経験者採用において、候補者の細かい職務経歴を確認した上でアプローチできることが大きなメリットとなっています。導入後は面接設定数が月平均40%増加し、採用スピードの向上につながりました。
また、採用担当者がツールを使いこなせるよう、定期的なトレーニングセッションを設けて運用をサポートしている点も特徴的です。
株式会社Delight
株式会社Delightは、中小企業ながらダイレクトリクルーティングを積極的に活用し、即戦力人材の採用に成功した企業です。同社では、候補者一人ひとりに合わせたスカウト文面作成と迅速な対応が特徴です。
例えば、99通のスカウト送信から3ヶ月で21名の応募獲得、そのうち2名が内定承諾するという成果を出しました。特に、自社のミッションや価値観(PMVV)を明確化し、それらをスカウト文面に反映させたことが成功要因となっています。
ダイレクトリクルーティングの料金形態
ダイレクトリクルーティングサービスには、主に2つの料金形態があります。それぞれの特徴を見ていきましょう。
定額型
定額型は、一定期間内(多くは月額や年額)で固定料金を支払い、サービスを利用する形態です。主な特徴は以下の通りです。
- 利用回数や採用人数に関わらず、一定の費用で利用可能
- 予算計画が立てやすい
- 多くの候補者にアプローチする場合にコスト効率が良い
- 採用数が少ない場合は割高になる可能性がある
定額型は採用計画が明確で、継続的に採用活動を行う企業に適しています。特に、大量採用や常時採用を行う企業では、コストパフォーマンスが高くなる傾向があります。
多くのサービスでは、月額5万円〜30万円程度が相場となっており、利用できる機能やデータベースの規模によって料金が変わります。
成功報酬型
成功報酬型は、実際に採用が成立した場合のみ料金が発生する形態です。主な特徴は以下の通りです。
- 採用が成立しなければ費用は発生しない
- 成功報酬額は通常、年収の20〜35%程度
- 採用リスクが低い
- 1人あたりのコストは定額型より高くなることが多い
成功報酬型は、採用数が少ない場合や採用予算に制約がある企業に適しています。また、特定のポジションの採用を行う場合など、ピンポイントの採用活動に向いています。
ただし、成功報酬型の場合でも、データベース利用料などの基本料金が別途かかるケースもありますので、契約前に確認が必要です。
ダイレクトリクルーティングを行う4つのメリット
ダイレクトリクルーティングには、従来の採用手法と比べて様々なメリットがあります。ここでは主な4つのメリットを解説します。
①自社が求める人材に直接アプローチ
ダイレクトリクルーティングの最大のメリットは、自社が求める条件に合った人材に直接アプローチできることです。
求人広告では、応募してくる人材の質や適性にばらつきがあり、選考に多くの時間を費やすことになります。一方、ダイレクトリクルーティングでは、経験・スキル・業界など細かい条件で候補者を絞り込むことが可能です。
例えば、「金融業界で3年以上のプロジェクトマネジメント経験があり、英語が堪能な人材」といった具体的な条件での検索が可能になります。このように、自社のニーズに合った人材にピンポイントでアプローチできるため、採用の質が向上します。
また、現在転職活動をしていない優秀な人材(パッシブ層)にもアプローチできる点も大きな強みです。通常の求人広告ではリーチできないこの層にアプローチすることで、競合他社との差別化が図れます。
②承認率の向上
ダイレクトリクルーティングでは、候補者のプロフィールを見た上でアプローチするため、ミスマッチが少なく、メッセージの承認率(返信率)が高くなります。
特に、候補者の経験やスキルに言及した個別性の高いメッセージを送ることで、一般的なテンプレートメッセージよりも高い返信率を得られます。実際に、多くの企業では個別メッセージの返信率が一般的なテンプレートメッセージの2〜3倍になるといったデータも報告されています。
また、承認率の向上は選考プロセスの効率化にもつながります。候補者とのミスマッチが減ることで、選考の各段階での通過率が向上し、採用までの期間短縮や採用担当者の負担軽減につながるのです。
③工数削減
ダイレクトリクルーティングを活用することで、採用業務の工数を大幅に削減できます。
従来の採用手法では、多数の応募者から適性のある人材を選び出す作業に多くの時間を費やします。しかし、ダイレクトリクルーティングでは最初から条件に合った人材にアプローチするため、書類選考の手間が大幅に削減されます。
また、多くのダイレクトリクルーティングツールには、メッセージ送信の自動化機能やスケジュール管理機能などが備わっており、採用担当者の日常業務を効率化できます。AI機能を搭載したツールであれば、候補者の提案や最適なメッセージの作成をサポートしてくれるサービスもあります。
これらの機能により、採用担当者は戦略的な業務により多くの時間を割くことができるようになります。
④コスト削減
ダイレクトリクルーティングは、長期的に見ると採用コストの削減にもつながります。
従来の人材紹介サービスでは、一人採用するごとに年収の30〜35%程度の成功報酬が発生します。一方、定額制のダイレクトリクルーティングツールであれば、採用人数に関わらず一定のコストで運用できるため、複数名の採用を行う場合に大きなコストメリットが生まれます。
例えば、年収600万円の人材を3名採用する場合、人材紹介サービスでは約600万円のコストがかかりますが、月額20万円のダイレクトリクルーティングツールを1年間利用しても240万円で済みます。
また、採用の質が向上することで、ミスマッチによる早期離職も減少するため、再採用コストの削減にもつながります。長期的な採用戦略を考える上では、こうした点も大きなメリットといえるでしょう。
ダイレクトリクルーティングを行ううえでの課題
ダイレクトリクルーティングには多くのメリットがありますが、導入・運用には以下のような課題もあります。
業務負荷の増加
ダイレクトリクルーティングは、採用の質や効率を高める一方で、採用担当者の業務負荷が増加するケースがあります。
具体的には、以下のような業務が新たに発生します。
- 候補者の検索・選定作業
- 個別メッセージの作成
- 返信対応やスケジュール調整
- ツールの使い方の習得
特に小規模な企業や採用担当者が少ない場合、これらの業務をこなすことが難しくなることがあります。
この課題を解決するためには、以下のような対策が効果的です。
- AIによるメッセージ作成支援機能があるツールを選ぶ
- テンプレートメッセージを複数用意しておく
- スカウト業務の一部を外部委託する
- 業務フローを整備し、効率化を図る
適切なツール選びと運用体制の構築により、業務負荷を最小限に抑えることが可能です。
現場との協力が必要
ダイレクトリクルーティングを成功させるためには、採用担当者だけでなく、現場の管理職や実際に一緒に働くチームメンバーとの協力が不可欠です。
候補者は採用担当者とのやり取りだけでなく、「実際に働く環境や一緒に仕事をする人」についても知りたいと考えています。そのため、候補者との面談に現場のマネージャーやチームメンバーが参加することで、より具体的な仕事内容や職場環境を伝えることができます。
しかし、現場は日常業務で忙しく、採用活動に時間を割くことが難しいケースも少なくありません。この課題を解決するためには、以下のような取り組みが有効です。
- 採用活動の重要性を全社で共有する
- 面接のスケジュールを事前に調整しておく
- オンライン面談の活用で時間的制約を軽減する
- 現場の負担が少ない形でのサポート体制を構築する
採用は会社全体で取り組むべき課題であることを認識し、協力体制を築くことが成功の鍵となります。
長期的なアプローチが必要
ダイレクトリクルーティングは、即効性のある採用手法ではなく、長期的な視点でのアプローチが必要です。
特にパッシブ層(現在転職活動をしていない層)へのアプローチは、すぐに採用につながるわけではありません。候補者との関係構築から始まり、興味を持ってもらい、面談につなげ、最終的に採用に至るまでには時間がかかります。
短期的な成果を求めると、押し付けがましいメッセージを送ったり、候補者との関係構築を疎かにしたりして、かえって効果が薄れることがあります。
この課題に対処するためには以下のポイントを意識しましょう。
- 短期・中期・長期の採用計画を立てる
- 候補者とのエンゲージメントを大切にする
- 単なる採用活動ではなく、企業ブランディングの一環として位置づける
- 定期的に効果測定を行い、PDCAサイクルを回す
長期的な視点で取り組むことで、持続的な採用成果につなげることができます。
ダイレクトリクルーティングがおすすめな企業や職種の特徴
ダイレクトリクルーティングは、すべての企業や職種に適しているわけではありません。どのような場合に特に効果を発揮するのかを見ていきましょう。
ダイレクトリクルーティングがおすすめな企業の特徴
以下のような特徴を持つ企業では、ダイレクトリクルーティングの効果が高い傾向にあります。
- 専門性の高い人材を求めている企業
特定の技術や経験を持つ人材を求める場合、条件に合った候補者を絞り込んでアプローチできるため効果的です。
- 採用予算に制約がある企業
定額制のダイレクトリクルーティングツールを活用することで、人材紹介会社の成功報酬と比べてコストを抑えられます。
- 採用基準が明確な企業
求める人材像が明確であれば、検索条件を絞り込みやすく、効率的なアプローチが可能です。
- 採用担当者が複数いる企業
ツールの活用や候補者対応などの業務を分担できるため、効率的に運用できます。
- 採用ブランディングに力を入れている企業
ダイレクトリクルーティングは企業の魅力を直接伝える機会でもあります。採用ブランディングに注力している企業では相乗効果が期待できます。
一方で、採用基準が不明確な企業や採用担当者のリソースが極端に限られている企業では、効果を最大化しにくい場合があります。
ダイレクトリクルーティングがおすすめな職種の特徴
職種によっても、ダイレクトリクルーティングの効果は異なります。特に以下のような職種では効果が高いでしょう。
- IT・エンジニア職
特定の言語やフレームワークの経験者など、スキルセットを絞って検索できるため効率的です。また、IT人材は転職市場で引く手あまたのため、プッシュ型アプローチが効果的です。
- 専門職(会計士、税理士、弁護士など)
資格や専門性で絞り込みやすく、また通常の求人広告では応募が少ない職種でもあります。
- 管理職・マネジメント層
求人広告ではなかなか応募が得られにくい層であり、また現職で活躍している人材へのアプローチが重要となります。
- 営業職
業界経験や実績で絞り込むことで、即戦力となる人材を効率的に見つけられます。
- 研究開発職
特定の研究分野や技術に詳しい人材は数が限られており、ピンポイントでのアプローチが効果的です。
一方で、未経験者を多く採用する職種や、応募者が多く見込まれる一般事務職などでは、従来の求人広告の方が効率的なケースもあります。
ダイレクトリクルーティングサービスを選ぶ際の4つのポイント
ダイレクトリクルーティングサービスは多数存在します。サービス選びに失敗しないために、以下の4つのポイントを押さえましょう。
①ターゲット候補者の数は多いか
ダイレクトリクルーティングの成否は、いかに多くの適切な候補者にアプローチできるかにかかっています。そのため、サービスが保有するデータベースのサイズと質は重要な選定ポイントです。
チェックすべき点としては以下の4つがあげられます。
- 登録者数(全体および業界・職種別)
- アクティブユーザーの割合
- データの鮮度(最終ログイン日時など)
- 自社が求める職種・業界の人材が十分に登録されているか
単純な登録者数だけでなく、アクティブ率やターゲット層の充実度も確認することが大切です。サービス提供会社に対して、自社のターゲット層がどの程度登録されているか、具体的な数字を確認するとよいでしょう。
②検索機能は豊富か
適切な候補者を効率的に見つけるためには、詳細な検索機能が不可欠です。以下のような検索機能があるかチェックしましょう。
- 職種・業界での絞り込み
- スキル・資格での検索
- 経験年数や年収での絞り込み
- 勤務地や転居の可否での絞り込み
- キーワード検索(特定の技術や経験を持つ人材を見つけるため)
- 複合条件での検索(AND/OR検索)
- 類似プロフィール検索
特に、自社が重視する条件での検索ができるかどうかは重要なポイントです。デモ版などで実際に検索機能を試せる場合は、自社の採用条件で検索してみることをおすすめします。
③レジュメ内容は充実しているか
候補者のプロフィール(レジュメ)情報が充実していることも重要なポイントです。プロフィール情報が不足していると、適切な候補者を見つけられなかったり、ミスマッチが発生したりする原因となります。
チェックすべき点としては
- 職務経歴の詳細さ(具体的な業務内容、プロジェクト実績など)
- スキル・資格情報の充実度
- 希望条件(職種、勤務地、年収など)の明示
- プロフィールの更新頻度
- 写真やプロフィール文などの人となりが分かる情報
サービス提供会社に、プロフィールのサンプルを見せてもらうか、デモ版で確認するとよいでしょう。
④採用施策のサポートは充実しているか
ダイレクトリクルーティングを効果的に行うためには、ツールだけでなく運用面でのサポートも重要です。以下のようなサポートがあるか確認しましょう。
- 導入時のトレーニング
- 効果的なメッセージ作成のアドバイス
- 採用施策全体のコンサルティング
- 定期的な活用状況のレビュー
- 成功事例の共有
- AIによるメッセージ作成支援や候補者推薦機能
特に、ダイレクトリクルーティングの経験が少ない企業では、単なるツール提供ではなく、運用面でのサポートが充実しているサービスを選ぶことが重要です。
また、システムの使いやすさやカスタマーサポートの充実度も、長期的に活用していく上では重要なポイントとなります。可能であれば、無料トライアルやデモを通じて、実際の使い勝手を確認することをおすすめします。
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監修者プロフィール

- 株式会社Delightは、採用領域に特化したコンサルティング企業として、企業の「人材」課題を多角的にサポートしています。求人広告代理店として20種類以上の大手媒体を扱い、最適な提案を行うほか、自社で培った新卒・中途採用のノウハウを活かし、採用戦略立案から面接代行、内定後フォローまで一貫して支援。また、AIによるスカウト自動化サービス「RecUp」を展開し、採用活動の効率化と成功を後押しします。採用の課題に悩む企業に、実践的かつ柔軟なソリューションを提供しています。