
人材採用の競争が激しくなる中、採用業務を効率化する方法として「RPO(採用代行)」の利用が増えています。ですが、RPOを導入する際には、料金体系や費用相場を理解しておかないと、予算オーバーや期待とのギャップが生まれることもあります。
本記事では、RPOの費用相場を料金体系別、雇用形態・職種別、運営形態別に詳しく解説。業者を選ぶ際に確認すべき3つのポイントや、主要RPO業者の料金比較、導入のメリット・デメリットまで解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
RPO(採用代行)とは?

RPO(Recruitment Process Outsourcing)とは、企業の採用業務を外部の専門業者に委託するサービスのことです。求人票の作成から応募者対応、面接設定、合否連絡まで、採用に関わる幅広い業務を代行してもらえるため、社内リソースが不足している企業でも効率的に採用活動を進められます。
近年、採用代行の需要が高まっている背景には、少子高齢化による人手不足や採用競争の激化があります。企業が自社だけで優秀な人材を確保するのは難しくなっており、採用プロセスを専門家に任せることで、採用の質やスピードを向上させることができるのです。
RPOには、完全に外部で対応するリモート型、社内に常駐する常駐型、両者を組み合わせたハイブリッド型などの運営スタイルがあります。どの方式を選ぶかは、企業がどこまで業務を任せたいか、どの部分は自社で保持したいかによって異なります。RPOの導入により、採用担当者はコア業務に集中でき、採用効率や成果を向上させることが可能です。
RPOの費用相場を料金体系別に解説!

RPO(採用代行)の費用は、業務の委託範囲や企業の採用戦略によって大きく変わります。基本的には、「月額一律料金型」「従量課金型」「成果報酬型」の3つの料金体系に分類されます。それぞれの料金体系には特徴があり、企業の採用状況や予算に応じて適切な形態を選ぶことが重要です。
以下では、各料金体系の概要と費用相場を詳しく解説します。
月額一律料金型
月額一律料金型は、あらかじめ定めた業務範囲に対して毎月固定料金を支払う形式です。契約内容の範囲内であれば、追加費用なしで一定量の採用業務を依頼できます。そのため、採用担当者の負担を減らし、効率的に採用活動を進めたい企業に向いています。
この料金体系では、業務量が多くても固定料金で済むため、月々のコストを計算しやすいのが特徴です。ただし、定額でできる業務範囲を超えた場合は追加料金が発生するケースもあるため、契約時に上限や超過料金について確認しておく必要があります。
費用相場の目安
サービス内容 | 月額料金目安 |
新卒採用 | 10〜70万円 |
中途採用 | 20〜80万円 |
新卒スカウト代行 | 10〜50万円 |
中途スカウト代行 | 10〜60万円 |
面接代行 | 15〜50万円 |
あくまで目安であり、業務範囲や企業の規模によって変動します。
従量課金型
従量課金型は、実際に行った業務量に応じて料金が発生する形式です。必要な業務だけを外部に依頼できるため、部分的にサポートを受けたい企業に向いています。例えば、求人票作成や応募者対応の一部だけを依頼する場合や、繁忙期だけ外部支援を受けたい場合に便利です。
従量課金型は、業務量が増えるほど料金が上がるため、ある程度の予算管理が必要ですが、必要な分だけコストをかけられる柔軟性があります。また、業務単価や依頼件数を調整することで、採用活動のコスト最適化も可能です。
費用相場の目安
- スカウト送信:1通あたり数百円〜数千円
- 面接実施:1回あたり数万円
- 求人広告掲載:1件あたり数万円〜数十万円
- 選考日程調整:月5万円程度
- 応募者管理・合否連絡:月2〜5万円程度
ただし、業務内容や業者によって金額は変動します。大量のスカウト配信や面接代行を行う場合は、月額固定型と比較してコストが上回る可能性があります。
成果報酬型
成果報酬型は、採用が成功した場合のみ料金が発生する形式です。採用決定者1名あたりの単価で料金が設定されており、採用に失敗すればコストがかからない点がメリットです。そのため、予算リスクを最小限に抑えたい企業や、採用成果に直結した費用管理をしたい企業に適しています。
ただし、成果報酬型では「成果の定義」が重要です。例えば、内定承諾時点での報酬なのか、入社後一定期間勤務した場合なのか、契約条件によって料金発生タイミングが変わります。契約前に必ず確認しておく必要があるでしょう。
費用相場の目安
- 新卒採用:1名あたり30〜50万円
- 中途採用:1名あたり50〜100万円
※ハイレベル人材や採用難易度の高い職種の場合はさらに高額になる場合があります
成果報酬型は、コストを採用成果に連動させられる点で魅力的ですが、採用難易度や候補者数によっては割高になる場合もあるため、契約条件をよく確認することが大切です。
RPOの費用相場を雇用形態・職種別や運営形態別に解説!

RPOの費用は、料金体系だけでなく、採用する人材の雇用形態や職種、さらにはRPOの運営形態によっても変動します。雇用形態や職種によって採用難易度が異なるため、必要な業務量やリソースも変わり、その分費用が上下するのです。
ここでは、それぞれの相場を具体的に見ていきます。
雇用形態・職種別の費用相場
雇用形態や職種ごとに、RPOを利用した場合の費用目安は以下の通りです。
- 正社員(中途採用):月額20〜80万円程度
- 新卒採用(正社員):月額10〜70万円程度
- 契約社員・派遣:月額10〜50万円程度
- 営業職:月額15〜60万円程度
- 技術系(エンジニア):月額20〜80万円程度
- 事務・管理職:月額10〜50万円程度
採用難易度が高い職種や専門性の高い人材ほど、費用は高くなる傾向があります。たとえばエンジニアや営業職は母集団形成やスカウト活動に手間がかかるため、費用が上がることが多いです。
逆に、事務や管理系の職種は応募者数も多く、比較的費用を抑えやすい場合があります。
運営形態別の費用相場
RPOの運営形態によっても料金は変動します。代表的な形態は以下の3種類です。
- リモート型:業務を完全にオンラインで対応する方式です。交通費や常駐コストがかからないため、比較的低コストで導入可能です。
- 月額10〜50万円程度が目安
- 月額10〜50万円程度が目安
- 常駐型:RPO業者のスタッフが自社に常駐し、現場で業務をサポートする方式です。業務連携がスムーズですが、交通費や宿泊費なども加わるため、料金は高めになります。
- 月額40〜80万円程度が目安
- 月額40〜80万円程度が目安
- ハイブリッド型:一部業務はリモート、一部は常駐で対応する方式です。コストと柔軟性のバランスが取れる方法で、業務量に応じて調整可能です。
- 月額30〜70万円程度が目安
- 月額30〜70万円程度が目安
運営形態ごとの費用差は、業務の密度や対応時間、常駐スタッフ数などによって決まります。自社のニーズに合った形態を選ぶことで、コスト効率を最大化できるのです。
RPO業者を選ぶ際の3つのポイントを解説!

RPOを導入する際、最も重要なのは「どの業者を選ぶか」です。費用や料金体系を理解しても、業者が自社の採用方針や業務フローに合わなければ、期待する成果は得られません。そのため、契約前には慎重に確認すべきポイントがあります。
ここでは、特に重視すべき3つのポイントを解説します。
①見積もり内容がわかりやすく説明されているか
RPO業者の見積もり内容が明確でわかりやすいかどうかは、契約前に必ず確認すべきポイントです。料金の内訳や業務範囲が不透明だと、契約後に追加費用が発生したり、依頼したい業務が含まれていなかったりする可能性があります。
オプション料金や超過分の扱いも明示されていることが望ましいです。料金に加えて、担当者が業務フローや進捗管理の方法までわかりやすく説明してくれる業者は信頼度が高いと言えるでしょう。
見積もりの段階では、詳細な質問ができる環境かどうかも重要です。月額料金内でどこまで業務を任せられるのか、成果報酬型の場合の成果定義はどうなっているのか、追加発生費用はどの条件で発生するのかなどを確認しましょう。
②対応できる範囲と専門性が自社のニーズに合っているか
RPO業者の対応範囲と専門性が、自社の採用ニーズに合っているかも重要です。RPO業者によって得意分野は異なり、新卒採用や中途採用、特定職種への採用支援に強みを持つ業者もあります。
ITエンジニア採用に強い業者であれば、スカウトメールや候補者データベースを活用した母集団形成に優れていますし、営業職や事務職に強い業者は、応募者管理や面接代行、面接評価のサポートなどで効果を発揮します。
過去の実績や事例を確認することも有効です。業種や職種ごとの成功事例が豊富であれば、ノウハウや業務プロセスの精度が高く、安心して任せられます。契約前には対応可能な業務範囲を具体的にヒアリングし、必要な業務が抜けていないかを確認することが重要です。
③成果を測るための基準や評価体制が整っているか
RPO導入後の効果を正しく把握するためには、成果測定の基準や評価体制が整っているかを確認することが欠かせません。RPOは業務委託であるため、成果の定義が曖昧だと、契約後にどれだけ効果があったかを判断できず、改善策も立てにくくなります。
具体的には、KPIや成果指標の設定、進捗確認の方法、報告頻度などを契約前に確認します。応募者数、面接実施数、内定承諾率などをKPIとして設定し、定期的に報告してもらうことが一般的です。
成果の測定ができる環境が整っていれば、採用プロセス全体の改善やコスト対効果の可視化が可能になります。RPO導入による採用効率や質の向上を最大限に活かすことができるため、契約前に成果測定の方法や報告形式を具体的に確認しておくことは、後悔しない業者選びの大前提です。
主なRPO業者の費用を比較!

RPO業者を導入する際には、料金だけでなく業務内容やサポート範囲を比較することが大切です。ここでは、代表的なRPO業者の費用プランをまとめました。それぞれの料金体系や業務内容を理解することで、自社に最適な業者を選ぶ判断材料になります。
CASTER BIZ recruiting

CASTER BIZ recruitingは、オンラインアシスタントを活用したRPOサービスを提供しています。業務時間に応じて柔軟にプランを選択できるため、必要なサポート量に応じてコストを調整できます。
料金プラン例
プラン名 | 月額料金(税抜) | 月額料金(税込) | 月の利用時間 |
STARTER | 41,000円(6ヶ月プラン) | 45,100円 | 10時間/月 |
BASIC | 120,000円(12ヶ月プラン) | 132,000円 | 30時間/月 |
CUSTOM | 要相談 | 要相談 | 要カスタマイズ |
SPECIAL(助成金・補助金サポート) | 180,000円 | 198,000円 | 30時間/月 |
CASTER BIZでは、チームで対応するため、幅広い業務にスピーディーかつ正確に対応できるのが特徴です。オプションとして導入コンシェルジュを付けることで、業務切り出しやヒアリングをサポートしてもらえます。自社に必要な業務だけを効率的に委託することが可能です。
株式会社カケハシ スカイソリューションズ

株式会社カケハシ スカイソリューションズは、スカウト代行やRPOサービスを提供しており、企業の採用活動全体を効率化することができます。特に、応募者対応や面接設定、スカウト送信までを一括でサポートできるのが特徴です。
導入企業の規模や採用ターゲットに応じて柔軟にプランを設定できるため、中小企業から大企業まで幅広く対応可能です。
料金プラン例
サービス内容 | 月額料金目安(税抜) |
採用アウトソーシング(RPO) | 10〜80万円 |
選考フロー作成支援 | 30万円〜 |
評価基準作成 | 50万円〜 |
採用スケジュール立案・作成 | 30万円〜 |
採用ブランディング支援 | 100万円〜 |
内定者フォロー | 30万円〜 |
カケハシでは、企業ごとの採用課題に合わせてサービスをカスタマイズできるため、必要な業務だけを選んで委託することも可能です。スカウト送信や面接日程調整など、日常的な業務負担を軽減できる点も大きなメリットです。
担当者が採用プロセス全体を把握し、改善提案を行うことで、採用活動の効率化だけでなく、採用成果の最大化にもつながります。業務内容や費用の透明性が高く、契約後に追加料金が発生しにくい点も安心です。
株式会社アールナイン

株式会社アールナインは、採用活動全般をサポートするRPOサービスを提供しており、特に面接代行やスカウト代行など、実務面での支援に強みを持っています。企業の採用ニーズに応じて、柔軟に業務範囲をカスタマイズできる点が特徴です。
料金プラン例
プラン名 | 月額料金(税抜) | 内容 |
お手軽プラン | 1万円〜 | 面接日程調整などの一部業務代行 |
変動型プラン | 10万円〜 | 業務量に応じた従量課金型サポート |
固定型プラン | 30万円〜 | 月額固定で幅広い業務をサポート |
※別途、初期費用やカスタマイズ料金が発生する場合があります。
アールナインでは、専属担当者が企業ごとの採用戦略や採用フローをヒアリングし、最適なプランを提案します。採用担当者の負担を軽減しつつ、効率的に母集団形成や面接設定を行うことができるほか、応募者対応や選考管理まで代行することが可能で、採用活動全体のスピードと精度を向上にも寄与するでしょう。
アールナインは、業務範囲や料金体系が柔軟で、企業の規模や採用状況に合わせて最適化できるため、導入ハードルが低く、中小企業にも利用しやすいサービスです。契約前に、対応可能な業務内容や成果報酬の条件をしっかり確認することで、コストパフォーマンスを最大化できるでしょう。
RPO導入のメリット・デメリットとは?

RPOを導入することで、採用活動を効率化し、自社に適した人材を確保しやすくなります。しかし、一方で注意しないとデメリットも発生する可能性があるのです。
ここでは、メリットとデメリットを整理し、それぞれを詳しく解説します。
メリット
- 採用業務の負担軽減
- 専門知識やノウハウの活用
- 採用スピードの向上
- 母集団形成や候補者管理の効率化
- 成果をKPIで可視化できる
RPOを導入すると、採用担当者の業務負担を大幅に軽減できます。日々の応募者対応や面接設定、スカウト送信など、時間と手間のかかる業務を外部に任せられるため、本来の戦略立案や面接の質向上に集中できます。
採用スピードが向上するというメリットも大きいでしょう。応募者管理や面接調整をスムーズに行えるため、選考の停滞による優秀な候補者の流出を防げるだけでなく、業務内容や成果をKPIで可視化できるため、費用対効果を明確に把握でき、次回以降の採用戦略に活かすことが可能です。
デメリット
- 初期費用や月額費用が発生する
- 自社文化や業務特性の理解に時間がかかる場合がある
- 成果報酬型では採用難易度によってコストが高くなる
- 契約内容によっては柔軟性が低くなることがある
反面、デメリットとして初期費用や月額費用が発生することが挙げられます。大規模な採用や専門職採用の場合、費用が高額になることがあるため、予算計画をしっかり立てる必要があるといえるでしょう。
外部業者が自社文化や業務フローを理解するまでに時間がかかる場合もあります。特に専門性の高い職種や独自の採用基準がある企業では、業務開始直後に認識のズレが生じる可能性も否定できません。
成果報酬型のRPOでは、採用難易度や職種によってはコストが高くなるケースがあります。また、契約内容によっては柔軟に業務範囲を変更できない場合もあるため、業者選定時に対応可能範囲や追加費用の有無を確認しておくことが重要です。
AIスカウトならRecUp

採用活動を効率化したい企業におすすめなのが、AIスカウトサービス「RecUp」です。RecUpは、AIを活用して求めるスキルや条件に合った候補者を自動で抽出し、スカウトメールを送れるため、母集団形成にかかる時間と手間を大幅に削減できるのです。
候補者の属性や行動データを分析し、最適なタイミングでアプローチできる点も魅力です。従来の手動によるスカウトや応募者管理では見落としがちな潜在的な人材にもアプローチでき、採用成功率の向上が期待できます。
管理画面で進捗や成果を可視化できるため、採用活動の効果測定も容易です。中小企業から大企業まで幅広く活用でき、AIの力で効率的かつ戦略的な採用活動を実現できるサービスとなっています。