AI採用を導入する3つの問題点とは?メリットや成功させるためのポイント・導入している事例を解説

人手不足や採用競争の激化が進む現代において、AI(人工知能)を活用した「AI採用」が企業の採用力強化の切り札として急速に注目を集めています。AI採用の導入により、書類選考の自動化や面接プロセスの効率化、客観的な評価基準による公平性の確保など、従来の採用活動が抱える課題を解決できる多くのメリットが期待されています。

しかし一方で、導入コストや技術的な制約、応募者の理解促進など、慎重に検討すべき課題も存在するため、本記事ではAI採用の問題点からメリット、成功のポイントまで包括的に解説し、導入を検討している企業にとって実践的な判断材料を提供します。

AI採用とは?

AI採用とは、履歴書やエントリーシートの的確なスクリーニングや自動スケジューリング、面接や適性検査のデータ分析などの業務をAIが行うことを指します。AIを活用することで、これまで採用担当者が手作業で行ってきた業務を効率的に実施できるのです。

さらに、客観的な評価も可能になるため、より採用条件に適した人材を獲得することもできます。

AI採用を導入する3つの問題点

AI採用には多くのメリットがある一方で、導入前に十分検討すべき課題や問題点も存在し、これらを軽視すると期待した効果を得られない可能性があります。本章では、AI採用導入時に多くの企業が直面する3つの主要な問題点について、その具体的な内容と実践的な対策方法を詳しく解説していきます。

これらの課題を事前に理解し、適切な対策を講じることで、AI採用の導入リスクを最小限に抑えながら、技術の恩恵を最大限に活用した効果的な採用システムを構築することができるでしょう。

①学習データに偏りがあると評価にも偏りが生じるリスクがある

AIは過去のデータをもとに評価を実施するため、偏りがある学習データをそのまま活用してしまうと、評価にも偏りが生じます。評価に偏りが生じると、多様性に欠けてしまい、画一的な組織になる恐れもあるでしょう。

さらに、AIの判断ロジックの透明性が低い点も問題点のひとつです。AIの不採用基準を明確にしていない場合、応募者の理解を得るのが難しくなる可能性が高いです。

これらの問題の対策として、AIに頼り過ぎずに人間が最終的な判断を行うことが重要です。応募者の熱意や潜在能力などは、面接官との対話で感じられることを念頭においておくと良いでしょう。また、AIのデータを解析して、評価に偏りが生じないように定期的に見直す機会を確保することも大切です。

②応募者側が不安を感じやすい

応募者のなかには、AI採用に不安を感じる方も存在します。とくに、年齢層が高いほどその傾向が強いです。この問題点の対策としては、AIを活用していることが応募者にわかりにくい書類選考にAI採用を導入し、面接のプロセスでは面接官が実際にコミュニケーションを取ることが考えられます。AI面接を実施する場合は、必ず採用担当者と対話する機会を設けると応募者に安心感を与えられるでしょう。

AI採用を導入している背景や、最終的な判断は人間が行っていることなどの企業の姿勢を応募者に明確に提示することも、対策のひとつとして効果的であると言えます。

③導入費用がかかる

AI採用を取り入れる際、導入時に莫大な初期費用がかかります。ただ単にAIを導入するのではなく、様々な過去のデータを学習させ、自社に最適な形にカスタマイズするため、多くの時間と費用が必要なのが問題点です。

さらに、既存の採用システムとAIを連携させるという作業も欠かせません。AI採用を導入するにあたり、フォーマットやシステムを調整することも大切です。結果的に、AI採用を導入するためには10万円以上の初期費用と月額料金がかかり、自社に合わせたカスタマイズ料としてさらに費用が上乗せされます。

費用面の問題点の対策としては、限定的な導入を実施し、コストパフォーマンスを評価することが効果的です。初期費用を抑えるために、まずは既存のAIサービスを活用して段階的に導入を図ることも有効と言えるでしょう。

AI採用を導入する6つのメリット

これまでAI採用の課題や問題点を詳しく解説してきましたが、これらは適切な対策により解決可能であり、AI採用には企業の採用活動を劇的に改善する多くの実践的なメリットが存在します。導入企業の多くが実感している効果として、業務効率の大幅な向上、採用コストの削減、評価の客観性確保など、従来の採用手法では実現困難だった価値を提供できることが挙げられます。

本章では、AI採用がもたらす6つの主要なメリットを具体例とともに詳しく紹介しますので、AI採用の真の価値と可能性を理解したい方は、ぜひ参考にしてください。

①候補者の評価をより正確に行なえる

AI採用を導入すると、ヒューマンエラーを防ぎ、より正確に評価することが可能になります。AIによって書類選考や面接日程の調整などを自動化することで、採用担当者の負担を軽減し、人為的なミスを防げるようになるでしょう。

さらにAIを書類選考に導入すると、候補者の職務経歴やスキルを数値化し、これまでに活躍してきた人材との比較から、自社に適した人材を見つけることが可能です。

面接のプロセスでは、候補者の回答の他に声の抑揚や表情なども細かく分析して論理的思考力や対話力などを図り、より正確に評価できることになります。

②より公平な採用が可能になる

AI採用のメリットとして、より中立で客観的な判断が可能になることも挙げられます。すべての候補者の情報を統一されたアルゴリズムで評価するため、評価に一貫性を持たせることが可能です。

従来の人による選考では、主観や無意識のバイアスがかかってしまい、公平性に欠けてしまうことがあります。一方、AI採用では、「誰が選んでも結果が変わらない」といった透明性と信頼感を応募者にアピールできるでしょう。

③工数や人件費の削減につながる

AI選考を導入すると、工数や人件費の削減につながることは一目瞭然です。採用担当者は求人媒体の選定や選考プロセスの進行など、多くの業務を行わなければなりません。選考過程の一部をAIに任せるだけでも、採用担当者の負担を軽減できます。

人件費の削減にもつながり、戦略的な業務に時間を割けるようになるので、企業にとって大きなメリットにつながるでしょう。

④候補者の都合が良い日時に面接を行うことができる

面接のプロセスでAIを導入すると、面接担当者と候補者のスケジュールを調整する必要がありません。

面接担当者と候補者のスケジュールがうまく調整できなかった場合、優秀な人材を逃してしまう可能性もあるでしょう。候補者側の希望日時に面接時間が確保できると、そのような雇用機会の喪失も防げます。

⑤会社の事業方針や魅力など自社のアピールに時間を割ける

AI選考を導入して業務を軽減し、採用担当者がしっかりと自社のアピールをすることができれば、企業の雰囲気や事業方針、魅力などに感銘を受けた多くの候補者が応募することになります。

その結果、より優秀な人材を確保できるでしょう。

⑥候補者の本音を引き出しやすい

企業の採用面接を受けるにあたり、緊張して本来の自分の良さを発揮できなかった経験がある方は多いのではないでしょうか?AI面接では面接担当者と直接対峙することがないため、候補者が過度な緊張をせず、率直な考えを述べやすく、本音を引き出しやすいことにもつながります。

また、候補者の「面接担当者にどのように受け取られているのか」といった不安が減り、気楽に話せる傾向もあります。候補者の自然な言葉や態度を引き出しやすく、従来の人間の面接では見えづらい側面も見られるといったメリットにもなるでしょう。

AI採用を行う流れ

AI採用の導入を検討している企業にとって、実際にどのような流れで採用プロセスが進行するのかを具体的にイメージすることは重要な判断材料となります。

本章では、求人票作成から最終選考まで、AI採用の全工程を段階ごとに詳しく解説し、各段階でAIがどのような役割を果たし、どのような価値を提供するのかを明確にします。これらの具体的なプロセスを理解することで、自社の採用課題にAI技術をどのように活用できるか、また導入時にどのような準備が必要かを具体的にイメージできるようになるでしょう。

求人票作成

AIの強みは、これまでの採用データや、自社でどのような人材が活躍しているのかという情報を分析できることです。自社に適した人材の特徴を効率良く解析し、募集要項を作成するステップにおいてもAIは重要な役割を果たします。

また、対象の候補者層に合わせて求人広告の内容を自動で最適化したりすることも可能です。

応募者の母集団形成

AIは求人サイト上で自社が求める人材を特定し、レコメンド機能を通じて該当者に求人情報を自動表示することができます。

さらに、スカウトメールの文面を自動生成し、候補者ごとに内容を変えてパーソナライズされたアプローチも可能です。AIが自動検索・選定し、効率的にスカウトを実行して素早く母集団を形成してくれるので、業務の負担を減らすことができます。

書類選考

書類選考では、履歴書の情報をデータ化して分析する大変な作業をAIに任せられます。具体的には、学歴や職歴、自己PRや資格などをもとに自社への価値を予測し、その価値に応じて点数化してくれます。過去のデータを参考に、あらかじめ設定した評価基準に則って候補者を振り分けてくれるのです。

採用担当者は振り分けられた優先度の高い人材から確認できるため、書類選考を効率良く迅速に進めることが可能です。

適性検査

現在はAIを活用したWeb適性検査ツールの導入が進んでおり、回答結果を即座に分析して性格や認知能力などを可視化できます。他にも、ゲーム感覚で取り組める検査の形式も登場しており、候補者に負担を感じさせずに客観的なデータを集められるのです。

また、世間でも大きく話題となっているプログラミングスキルのテストなどもAIが自動で採点できます。

適性検査にAIを導入すると、スキル評価の精度と効率を同時に高めることが可能となります。

一次面接

AIが面接担当者に代わって面接を実施することで、以下のことが可能になります。

・文字起こし機能で正確な面接内容の振り返り

・候補者の声の抑揚や表情など記録や分析

・面接評価レポートの作成

とくに映像解析を活用すると、視線の動きや表情の変化から、応募者のコミュニケーション力や誠実さといった特性を評価できるのがAIを導入する利点と言えるでしょう。また、自然言語処理技術によって、回答内容の論理性や重要なキーワードの有無を自動的に分析することも可能です。

採用担当者は注目すべき候補者に集中して選定できるので、自社により適した人材の確保につながるのです。

面接日程調整

AI採用を導入しても、二次面接以降は直接面接担当者が実施するのが一般的ですが、AIにはサポート役として業務を補助させることが可能です。たとえば、AIチャットボットを活用すれば、候補者との面接日程の調整や連絡対応を自動化できます。さらに24時間いつでも対応可能なため、メールなどのやり取りにかかる時間を大きく短縮できます。

他にも、面接前のリマインド通知や、面接後のお礼メールの送信もAIが自動に行えるので、スムーズなフォローアップが実現します。内定者への定期的な連絡や情報提供をAIが代行することで、内定辞退のリスクを減らす取り組みにもつながるのです。

最終選考

AIは、これまでの選考データを集約・分析し、候補者ごとの総合スコアを自動で作れます。面接担当者が最終的な判断をする際、主観による評価のばらつきを抑え、より客観的で納得感のある決定ができます。

また、AIは過去の採用実績をもとに、「入社後に活躍する可能性」や「早期離職のリスク」といった将来性を予測することも可能です。

AI採用を成功させる9つのポイント

AI採用は単に導入すれば成果が得られるものではなく、戦略的なアプローチと段階的な実行計画が成功の鍵を握っています。

本章では、AI採用を確実に成功に導くための9つの重要なポイントを体系的に解説し、初回導入企業でも迷うことなく実践できる具体的な手順を提供します。これらのポイントを正しく理解し、自社の状況に合わせて適切に実行することで、AI採用の導入リスクを最小限に抑えながら、期待される効果を最大限に引き出すことができるでしょう

①なぜAI採用を導入するのかを明確にする

まずは、なぜAIを採用に取り入れたいのかをはっきりさせることが大切です。たとえば、「書類選考にかかる時間をもっと短くしたい」など、​​解決したい問題を具体的にしましょう。理由を明確にすると、採用過程のどの段階にどのAI技術を取り入れるべきなのかがわかります

②AIの効果が出やすい業務を選ぶ

すべての採用プロセスに、一度にAIを導入するのは現実的ではないため、AIの効果が出やすい業務を選び、段階的に導入することが大切です。

選考書類や面接日程調整、候補者からの問い合わせ対応などのルーティーンワークは、AIが得意とする分野なので、効果を感じやすいでしょう。

他にも、自社の採用規模や候補者の傾向を踏まえて最も効果が見られると予測できる業務にAIを取り入れることで、スムーズな運用につながります。

③AI導入の必要性をしっかり説明し社内で理解を得る

AI採用を導入するにあたり、人事部だけではなく、経営層やIT部門の理解と協力を得ることが必要です。

また、現場の採用担当者には、「AIは業務を代替するものではなく、あくまで支援ツールである」ということを明確に伝え、納得してもらうことも大切です。社内の関係者がAI採用に対して前向きな意識を持つことが、AI導入の成功につながるのです。

④履歴書や過去の面接などのデータを用意する

AI採用は過去のデータをもとに実施するため、履歴書や過去の面接などのデータを用意しておくことがAIの効果的な活用に不可欠です。さらに、既存の採用システムとAIを連携させるために、フォーマットやシステムを調整するという作業も欠かせません。

他にも、AI面接を導入する場合は、候補者が混乱せずに利用できるように、マニュアルや質問と回答などを用意しておくこともおすすめです。

⑤自社の目的に合ったAI採用ツールを選ぶ

AI採用ツールを選ぶ際は、使い勝手や費用、サポート環境などが自社に適しているかを考慮して、自社の目的に合ったものを選択しましょう。さらに、既存の採用システムとの連携のしやすさや導入実績を踏まえることもおすすめです。

導入するツールが決定したら、設定やカスタマイズを進めます。書類選考なら評価ポイントを調整したり、チャットボットなら質問内容を工夫したりしましょう。自社の採用方針に合わせて最適化することが求められます。

⑥まずは小規模な試験運用を行い検証する

いきなりすべての採用段階にAIを導入するのではなく、まずは小規模な試験運用を行い、検証しましょう。例としては、新卒採用の書類選考のみをAIに任せ、人間が実施した場合と比較してどのくらい一致しているのかを確認する方法が挙げられます。

試験運用期間中は、AIの判断の精度や候補者対応の負担、採用担当者の使いやすさなどを細かく確認しましょう。

⑦AIの精度や選考プロセスを評価し改善する

AIの精度や選考プロセスを評価して改善することは、本格的なAI採用の導入に向けて欠かせません。たとえば、AIの評価と採用担当者の判断が大きく異なっている場合、アルゴリズムを調整したり、評価基準を再検討したりすることが必要です。AI面接の段階で多くの候補者が離脱してしまう場合は、質問内容の改善や人的フォローを増やすなどして対応しましょう。

この段階では、選考の公平性を重視することも大切です。

AIの評価に偏りがないかを確認し、調整しましょう。

⑧導入後も定期的に効果を測定する

AI採用を本格的に導入した後も、AIの評価とフィードバックは必要不可欠です。

定期的に効果を測定し、設定したKPI基づいて運用状況を確認・改善していきましょう。あわせて、AI採用ツールをバージョンアップしたり、新機能を追加したりして常に最適な運用環境を維持することを目指しましょう。

さらに、操作マニュアルをきちんと作っておくこともおすすめです。運用のコツや流れをチーム内で共有しておくことで、想定外の状況でも慌てずに対応できます。

⑨候補者への説明を行い透明性を確保する

AI採用を導入する問題点でも取り上げたように、AIの判断ロジックの透明性が低いことは候補者に対してマイナスな印象を与えてしまいます。そのため、AI採用を導入する場合は候補者への説明をしっかりと行い、透明性を確保して安心してもらうことが非常に大切です。

たとえば、「選考のどの段階でAIを使っているのか」といったポイントをわかりやすく伝えましょう。とくにAI面接を実施する場合は、面接の受け方や注意点を事前に説明し、候補者が不安にならないように配慮しましょう。

選考結果を伝えるときも、AIの評価のみをそのまま提示することは避けてください。採用担当者が補足して説明することで、候補者に納得してもらいやすくなります。

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本記事では、AI採用の導入における問題点やメリット、AI採用の流れや導入のポイントなどを詳しく解説してきました。まだAI採用を取り扱っていない企業の方も、「検討してみても良いのでは…」と感じた方もいるのではないでしょうか?

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監修者プロフィール

福田 光樹
福田 光樹
株式会社Delight
RecUp事業部 カスタマーサクセス部門責任者

新卒から求人広告事業に従事し、企業の採用課題に向き合う中で、実践的な支援スキルを培う。その後、自社開発のAIを活用した採用支援ツール「RecUp」の営業責任者として、プロダクトを活用した採用戦略の設計・実行支援に従事。並行して自社の採用活動にも深く関与し、事業成長フェーズにおける人材要件定義、母集団形成、採用面接など、実務から戦略まで幅広い領域を担当。現在はカスタマーサクセス部門の責任者として、100社以上の採用支援実績をもとに、採用活動の最適化を支援している。実務と戦略の両視点を持つ実践型の採用コンサルタントとして、現場に寄り添いながらも成果に直結する支援に定評がある。

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