
新卒採用は、企業の将来を左右する重要な人材戦略のひとつです。しかし、近年は学生の志向や就職活動の方法が多様化しており、従来の求人広告や説明会だけでは十分に優秀な人材を確保するのが難しくなっています。
そこで注目されているのが「スカウト採用」です。スカウト採用は、企業側から学生に直接アプローチできる採用手法であり、効率よく自社にマッチする人材を見つけることができます。
本記事では、スカウト採用の仕組みやメリット・デメリット、サービスの比較ポイントまで詳しく解説し、企業が最適な新卒採用戦略を立てるための情報を提供します。
スカウト採用とは?

スカウト採用とは、企業側から学生に直接アプローチして採用活動を行う手法のことを指します。
従来の就職活動では、学生が求人情報を探して応募する「応募型」の形式が一般的でしたが、スカウト採用では企業が自らターゲットとなる学生を選び、積極的に声をかけることが特徴です。学生側は自分のスキルや希望にマッチした企業から直接オファーを受けられるため、効率的に就職先を探すことが可能になります。
特に新卒採用の現場では、学生の能力や志向に応じて最適な人材を早期に確保することが求められます。スカウト採用はその点で非常に有効で、企業は自社に合った学生を効率よく選定でき、学生は興味を持った企業からのスカウトを受け取ることでミスマッチを減らすことができます。
スカウトメールの送信や管理を支援する専用サービスも多数登場しており、採用業務全体の効率化にもつながる点が大きなメリットです。近年はオンラインでのプロフィール確認やAIによるマッチングなども進化しており、スカウト採用はより戦略的で効果的な採用手法として注目されています。
新卒向けスカウト採用サービスを導入するメリット・デメリットを解説!

新卒向けのスカウト採用サービスは、近年多くの企業が導入を進めている注目の採用手法です。従来のように学生からの応募を待つのではなく、企業が主体的にアプローチを行うため、採用活動の幅を大きく広げることができます。一方で、導入には一定のコストや運用負担も伴うため、メリットとデメリットの両方を正しく理解しておくことが重要です。
ここでは、スカウト採用サービスの代表的な利点と注意点をそれぞれ整理したうえで、実際に導入を検討する際に押さえるべきポイントを詳しく解説します。
メリット
- 企業から学生へ直接アプローチできるため、効率的な採用活動が可能
- 早期に優秀な学生と接点を持てる
- 応募待ちでは出会えない層にリーチできる
- 学生とのマッチ度を高め、ミスマッチを防ぎやすい
- 採用ブランディングにもつながる
スカウト採用サービスを導入する最大のメリットは、企業側から主体的に採用活動を行える点にあります。
従来の応募型採用では、学生の応募を待つ「受け身」のスタイルが中心であり、限られた応募者の中から選ぶしかありませんでした。しかしスカウト採用では、企業が自社の求める人材像に合った学生を検索・選定し、直接アプローチをかけることができ、採用担当者はより精度の高いターゲティングおよび採用効率を飛躍的に高めることが可能です。
また、「早期接触」に強いという特徴もあります。学生は就活解禁前からプロフィールを登録しているケースが多く、企業は他社に先駆けて優秀層へアプローチできます。特に競争の激しい業界で有効で、優秀な学生の確保につなげられるのです。
スカウトのやり取りを通じて学生の価値観や志向を把握しやすくなるため、入社後のミスマッチ防止にも繋げられます。企業が誠実なメッセージを発信することで、学生の印象にも残りやすく、長期的なブランディング効果も期待できるのです。
デメリット
- サービス利用にコストがかかる
- スカウトメールの反応率が低い場合がある
- 社内での運用体制が必要
- 学生層が偏っている場合がある
- メッセージ内容によっては企業イメージを損なう恐れがある
一方で、スカウト採用サービスにはいくつかの課題も存在します。
まず、多くのサービスは基本料金や成果報酬が設定されており、利用コストが発生します。スカウト送信数や契約プランによって費用が変動するため、十分な予算を確保できない中小企業にとっては負担となる場合があるでしょう。
スカウトを送ったからといって必ずしも学生から反応があるとは限りません。特に人気企業や大手からのオファーが集中している学生に対しては、返信率が低くなる傾向が出てくるかもしれません。
社内でスカウト候補を検索・選定し、文面を考えるといった運用工数が発生する点にも注意が必要です。スカウト採用を有効に活用するには、採用担当者がサービスの仕組みを理解し、データ分析や文面改善を継続的に行う体制づくりが欠かせません。
新卒向けスカウト採用サービスを比較!

新卒向けスカウトサービスは多くの企業が導入しており、学生との接点を早期に持てる手段として注目されていますが、各サービスによって登録学生の属性や利用料金、送信可能なスカウト数、サポート内容などが大きく異なっているのです。
ここでは、代表的なスカウト採用サービスをいくつか比較し、それぞれの特徴や強みを解説していきましょう。
OfferBox

プラン名 | 採用予定人数 | 利用料 | 成功報酬 | オファー送信可能期間 | オファー送信枠 |
成功報酬型プラン | 10名 | 0円 | 1名採用につき38万円 | 最大13ヶ月 | 40枠 |
早期定額型プラン(3名) | 3名 | 75万円 | 0円 | 最大24ヶ月(3年次3月〜4年次3月まで) | 120枠 |
早期定額型プラン(5名) | 5名 | 125万円 | 0円 | 最大24ヶ月(3年次3月〜4年次3月まで) | 200枠 |
早期定額型プラン(10名) | 10名 | 250万円 | 0円 | 最大24ヶ月(3年次3月〜4年次3月まで) | 400枠 |
OfferBox(オファーボックス)は、新卒スカウト型採用サービスの中でもトップクラスの学生登録数を誇るプラットフォームです。
利用学生は全体の3人に1人と言われており、文系・理系を問わず幅広い層が登録しています。特に機電系・情報系など専門性の高い理系学生、高い語学力を持つ学生、大学院生といった多様なバックグラウンドを持つ人材が多い点が特徴です。
企業にとっての強みは、学生のプロフィール情報の充実度にあります。OfferBoxでは学生のプロフィール記入率が非常に高く、学歴やスキルに加えて、性格診断や価値観テストの結果も確認できます。
成功報酬型・定額型など複数の料金プランが用意されているため、採用規模や予算に応じて柔軟に導入できるのも大きなメリットです。
キミスカ

採用枠 | 導入費用 | ゴールド(月) | シルバー(月) | ノーマル(月) |
3名枠 | 75万円 | 50通 | 150通 | 1,000通 |
5名枠 | 125万円 | 90通 | 250通 | 1,200通 |
10名枠 | 250万円 | 240通 | 550通 | 1,700通 |
30名枠 | 750万円 | 1,040通 | 1,950通 | 3,700通 |
株式会社グローアップが運営する『キミスカ』は、就活生の3人に1人が利用している新卒向けダイレクトリクルーティングサービスです。学生と企業の双方にとって使いやすい設計がされており、スカウト型採用の中でも特に実践的なツールとして多くの企業が導入しています。
現在の新卒採用市場は売り手傾向が強く、学生に届くスカウトの量も増加しています。その中でキミスカは、学生と企業の利用バランスを最適化することで、スカウトが埋もれにくく、返信率を高く維持できる点が大きな特徴です。1社あたりの登録学生数は約110人とされており、過剰な競合を避けながら効果的な採用活動が可能です。
キミスカでは「ノーマル」「シルバー」「ゴールド」の3段階のスカウトランクを用意しています。特に「ゴールドスカウト」は月間送信数が限られている分、学生に対する特別感や企業の本気度が伝わりやすく、3割以上の学生がエントリーに至っているとされています。
dodaキャンパス

初年度限定プラン料金表
採用予定人数 | 料金 | つながり上限数 | 付随サービス | 利用期間 |
3名 | 60万円 | 200枠 | 低学年へのオファー無料 | 3年次4月〜4年次3月 |
5名 | 75万円 | 400枠 | ||
無制限 | 90万円 | 600枠 |
『dodaキャンパス』は、2017年に株式会社ベネッセi-キャリアと、求人サイト「doda」を運営するパーソルキャリア株式会社が共同で立ち上げた、新卒向けスカウト型採用サービスです。
登録学生数はおよそ10.1万人と、OfferBoxの18.8万人に比べるとやや少なめですが、登録企業数が抑えられている分、1社あたりの学生母集団は確保されているため、スカウトの埋もれにくさや反応率の安定性に定評があります。
最大の特徴は、大学1年生から登録・利用できる点です。一般的なスカウトサービスは大学3年次からの利用が中心ですが、dodaキャンパスでは低学年層へのアプローチを可能にしています。
初年度限定プランではコストを抑えつつ採用活動を始められるのも魅力です。3名・5名・無制限の3つの料金体系があり、採用規模に合わせて柔軟に選択可能。加えて、大学1・2年生へのオファー送信が無料となる特典もあり、認知拡大フェーズの企業にとっては特に有用なプラン設計です。
Wantedly

プラン | 期間 | 総額 | 月額 | ダイレクトスカウト通数 | 管理画面に入れる人数 |
ライト | 6ヶ月 / 12ヶ月 / 24ヶ月 | 36万円 / 66万円 / 120万円 | 6万円 / 5.5万円 / 5万円 | ― | 15名 |
スタンダード | 6ヶ月 / 12ヶ月 / 24ヶ月 | 90万円 / 168万円 / 312万円 | 15万円 / 14万円 / 13万円 | 150通 / 300通 / 600通 | 30名 |
プレミアム | 6ヶ月 / 12ヶ月 / 24ヶ月 | 132万円 / 228万円 / 384万円 | 22万円 / 19万円 / 16万円 | 300通 / 600通 / 1200通 | 無制限 |
『Wantedly(ウォンテッドリー)』は、株式会社Wantedlyが運営する共感型リクルーティングサービスです。単なる「スキル」や「条件」でのマッチングではなく、企業のビジョン・カルチャー・経営者の想いに共感した学生がエントリーする仕組みを重視しています。
もともと中途・副業向けの採用媒体として知られていますが、現在では新卒採用やインターン募集にも広く対応しています。学生が社会人の働き方や企業文化に共感して応募するため、「企業理解の深さ」や「意欲的な姿勢」が選考初期から見られる点が大きな魅力です。
料金プランは「ライト」「スタンダード」「プレミアム」の3種類。スカウト機能を活用する場合はスタンダード以上が対象となり、スカウト通数やアカウント数に応じて柔軟に選べます。特にプレミアムプランは管理者人数が無制限となっており、複数拠点・複数担当者で運用する企業には最適です。
OpenWork

契約期間 | 基本利用料 | 採用決定時報酬(中途採用) | 採用決定時報酬(新卒採用) | 通常スカウト付与数(中途採用) | 通常スカウト付与数(新卒採用) |
12ヶ月 | 120万円 | 70万円/人 | 30万円/人 | 10,000通 | 10,000通 |
『OpenWork(オープンワーク)』は、企業のリアルな口コミが集まる日本最大級の転職・就職情報プラットフォームです。現役社員や元社員による職場環境・年収・働きがいなどの口コミが掲載されており、学生や転職希望者の「企業研究ツール」として高い知名度を誇ります。
そんなOpenWorkでは、単なる口コミサイトとしての利用に留まらず、スカウト機能を活用した採用活動も可能です。履歴書を登録・公開している学生や求職者に対して、企業が直接スカウトを送信できます。
料金体系は非常にシンプルで、基本利用料120万円(12ヶ月契約)+採用決定時の成功報酬のみ。成功報酬は中途採用1人につき70万円、新卒採用1人につき30万円と、成果が出た時点で費用が発生する仕組みです。さらに、通常スカウトは新卒・中途それぞれ10,000通まで送信可能で、送信数に制限が少ない点も魅力です。
導入費や月額使用料、スカウトごとの追加料金が一切かからず、成果報酬型で無駄な支出を抑えられるため、「採用人数が少ない企業」や「初めてスカウトサービスを導入する企業」にとって最適な選択肢といえるでしょう。
新卒向けスカウト採用サービスを選ぶ際の3つのポイントとは?

スカウト採用サービスは多くの企業が導入しており、提供会社ごとに料金体系や学生層、機能が異なります。そのため「どれを選べばいいかわからない」と感じる担当者も少なくありません。特に新卒採用においては、母集団の質やスカウト返信率が採用成果を左右します。
ここでは、自社に最適なサービスを見極めるために押さえておきたい3つのポイントを紹介しますので、ぜひチェックしてみてください。
①登録学生数の規模を確認する
スカウトサービスを選ぶ際、まず確認すべきは登録学生数の規模です。学生の登録数が多ければ多いほど、企業がアプローチできる候補者の幅は広がります。特に採用人数が多い企業や、複数職種での採用を予定している場合、登録者数が一定規模以上ある媒体を選ぶことで、より多様な学生層へのリーチが可能になります。
ただし、単純に登録者数が多いだけでなく、アクティブ率も重要です。数が多くても動いていない学生が大半ではスカウトの反応率が低下してしまいますから、サービス選定時は「登録者数」と「アクティブ率」の両面を確認しましょう。
登録学生数の多いサービスでは、企業側の競争も激しくなりがちです。スカウトメッセージの差別化や、学生の関心を引くタイトル設計など、運用の工夫も必要になります。単に「数」だけを見るのではなく、自社の採用ターゲットを踏まえて、「どの層がどれだけアクティブに動いているか」を重視するとよいでしょう。
②自社が採用したい学生層が含まれているかを見極める
2つ目のポイントは、自社が採用したい学生層が登録しているかどうかです。
スカウトサービスごとに得意分野や登録者層が異なり、理系学生に強いもの、語学力の高いグローバル人材が多いもの、ベンチャー志向の学生が多いものなど、特色があります。自社がどのような人材を求めているのかを明確にし、それに合致する学生層が多く登録しているサービスを選ぶことが大切です。
例えば、研究職や技術職を採用したい企業であれば、工学系や情報系学生が多く登録しているサービスが適しています。一方、成長意欲や企業文化への共感を重視する場合は、学生が企業理念やビジョンを基準に選ぶ傾向のある媒体(Wantedlyなど)を活用すると効果的です。
サービスによっては学生の性格診断データや自己PR動画など、パーソナリティを可視化できる機能を備えている場合もあります。これらの情報を活用することで、スキルだけでなく「自社カルチャーにフィットするか」までを判断しやすくなるでしょう。
③料金プランを比較する
最後のポイントは、料金プランの比較です。
スカウトサービスは基本利用料、スカウト送信数、成功報酬の有無など、料金体系が大きく異なります。初期費用が無料でも、採用が決まるごとに成功報酬が発生するプランや、一定期間定額でスカウトし放題のプランなど、コスト構造を正確に把握する必要があるのです。
短期間で集中的に採用を行う場合は「成功報酬型」が適していますし、通年で学生にアプローチしたい企業は「定額制プラン」がコストパフォーマンスに優れます。スカウト通数の上限や、送信可能な期間の長さも比較してみるとさらに良いでしょう。
契約期間が長いほど1ヶ月あたりの単価が下がるケースもあるため、採用スケジュールに合わせて最適なプランを選びましょう。料金を比較する際は、単に「安い」かどうかではなく、「どの程度のリターンを得られるか」という投資対効果の観点で検討することが重要です。
AIスカウトならRecUp

『RecUp』は、AI技術を活用した新卒向けスカウト自動化サービスです。企業が求める学生像をAIが学習し、登録データから最適な人材を自動で抽出・スカウトします。
従来のスカウト業務で負担になっていた候補者選定や送信作業を効率化でき、採用担当者は「学生との面談や関係構築」に集中可能です。それぞれのプロフィールごとに最適なスカウト分を作成し自動配信。反応データを元にコンサルタントの兵装サポートも受けられます。